家庭裁判所から分厚い封筒が届き、勝手に日時が指定された婚姻費用調停の呼び出し。これは流石に堪えます。普通に生活してきた大人が突然裁判所に呼び出されるという現実。もう事件ですよ。
控室は端っこと端っこなのね
東京霞が関駅から徒歩2分くらいのところにある東京家庭裁判所。エレベーターで14階に上がると申立人控室と相手方控室が廊下の反対側にある。両者が顔を合わせないように配慮してあるのだ。そして真ん中辺りにある会議室に交互に通される事になる。だいたい時間は30分程度で入れ替わり、それを2~3回行われる。その会議室に入ると、室内には定年を優に越えたであろうお年を召した方が男女で座っている。イメージで言うと元教頭先生とか元区議会議員とか善意の第三者という感じの方々だ。前にどこかで日当7000円のボランティアだと聞いたことがあるが定かではない。その方々の名称を「調停員」と呼ぶ。調停員の役目は「交渉をして、説得をして、なるべく訴訟裁判にしないで、話し合いでまとめること」となる。なんでもかんでも訴訟になっていたら大変なので、その手前の調停で解決させるのが彼らの役目となる。先ほど控室の名前となっている「申立人」というのは今回でいうところの「妻」にあたり、婚姻費用を私に対して払いなさいと申立てした側になる。「相手方」というのは今回でいうところの「夫(私)」であり、払えと言われている側になる。婚姻費用は年収の高い方から低い方へ払うようで、妻は専業主婦なので収入はゼロ円だと主張し、こちらに対して決められた額を払えと言ってきているのである。
子ども誘拐してお金払えって!?
私からするとある日突然子供を誘拐され、相手の弁護士から受任通知が届き、裁判所から手紙が届き、裁判所に呼び出されるという想定外の事が連発している。50年近く生きてきてここまで一変する出来事は中々ない。初めて裁判所の入口に入るといきなり荷物検査があるが、これだけでも変なプレッシャーだ。控室で待ち、しばらくして調停室に呼ばれる。調停員から発せられた言葉は「旦那さん、奥さんも生活していかなければならないので生活費を払ってもらっていいですか?」ときた。心から驚いた。私からは「いやいや、夫婦というのは共同生活義務というのがあって、いい事も悪い事も一緒に乗り越えていくのが夫婦。これは明らかな夫婦共同生活義務違反ではないですか!」と言ったら、「そうですね。でもその違反には罰金も違反点数もないんですよ」ときた。これもまた驚いた。調停員「今はいくら渡しているんですか?」と聞くので、「平日の食費代と雑費として月に15万渡しています」と回答すると、「ではまず15万は払ってもらっていいですか?」と返してくる。金額の前に妻を説得するとか、説教するとか、心を入れ替えさせるとかないのかと憤りを感じた。まるでこれでは「身代金」の要求となんら変わらないではないか・・・何とも理不尽なことがこれから延々と続くことになる事をこの時はまだ認識出来ていなかった。
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