国際ロマンス詐欺、SNS詐欺師とやり取りしてみたら手口が分かった件

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 皆さんもFacebookやインスタ等でいきなり友達申請が来るケースがよくあるでしょう。私にもたまに来たりする。若い中国人の美人女性やかなりスタイルのいい女性からの友達申請は秒で削除するのだが、たまに年配の方であったり、職業がしっかりしている方から申請が来ることがある。今回は「整形外科医」を名乗る方からの友達申請に承認し、その後どうなっていくかを検証していきたい。

Yoko Tamuraさんから友達申請が来ました。

 まずFacebookの友達申請を承認するとすぐにメッセンジャーに手を振っているマークが届いた。Yoko Tamuraさんという名前なのだが、その下にある名前がyuko.konishi222となっていて別の名前になっている。名前が違うのはおかしいので、この時点でどちらかの方が乗っ取られている可能性高い。
 次にFacebookの方の個人画面を見てみよう。

 友達が59名しかいないのも既に怪しいのだが、整形外科医として外国の病院で働いている紹介なのだが、写真は日本の病室っぽい感じで変な感じだ。

さあ、ここからはメッセンジャーのやり取りを見ていこう!

 先方から少し長めの文章が届く。特徴なのは必ず「最後に質問をつけてくる」ということ。上記を見てもらうと「どこの県に住んでいますか?」と質問で終わるようになっている。それでは次の文章を見てみよう。

 上記を見てもらうと「あなたの街の天気はどうですか?」と質問で終わっている。次の文で「私は田村陽子博士です。でも陽子と呼んでください。私は48歳です。」とあり、また「何歳ですか?何という名前を呼んでもいいですか?」と質問で終わる。私の方の回答は常に短く、余りこちらの情報を与えないように淡々と返信していくのだが、先方は必ず長文&質問のパターンだ。

 毎日、2~3通のメッセージが届く。おそらくテンプレートが決まっていて、この順番で送るようにマニュアルがあるのであろう。職業はなにか? 何年仕事している? イエメン戦争の事は知っているか? 独身か? 結婚しているか? 子供はいるか? 趣味は何か? 宗教はなにか? 好きな色は? 車もっているか? 好きな食べ物は何か? 朝食は何か? 夜の予定は? などなど自分の話を長文で書いた後に必ず質問をつけて送ってくる。このやりとりがかなりの頻度で続く。おそらく「相手の信用をかち取るまで長めにコミュニケーションを取るように」と指南されているのではないかと思ってしまう。こんなやり取りを1週間くらいしていると、日常のやり取り内容からだんだんと戦地にいて大変な状況であることを匂わしてくる。

 米国政府によって戦闘地域であるイエメンに派遣されている。私は引退が決まっていてこの地域から離れたい。ケルビンという息子もいると。

 旦那も亡くなっており、息子のケルビンが一人でイギリスの学校にいる。早く迎えにいきたいと訴える。この辺りからだんだん自身のイエメンでの環境の悪さと夫が亡くなり、息子とも離ればなれで可哀そう感をかなり出してくる。

どの辺から詐欺行為に移るのだろうか? 催促してみる。

  最初のメッセージから10日間くらい延々とやり取りが続く。だんだん面倒くさくなってきたのでこちらから呼び水を投げてみる。「何か私にして欲しいのかしら?要望があれば言ってみて」と。

 その呼び水によって、相手が少し動いてきた。戦争中のため銀行や商業施設が機能していないため、銀行口座にアクセスできないのだと。日本に着いたら銀行口座にアクセスできるが、イエメンでは出来ないと言ってきた。お、だんだんお金の匂いを出してきたぞ。

航空会社エージェント トンプソンミラーに連絡を!

 まずイエメンの戦場の状況を知らせるために「血だらけの兵士や亡くなった兵士の写真」が5枚ほど送りつつ助けて欲しいメッセージが届く。ここからいち早く抜け出すために航空会社に連絡をしてほしいとのお願いだ。

 私から「どうしたらいいか?」と聞いてみると、フライトエージェントにメールを送って欲しいと連絡があった。ご丁寧に航空代理店に送る例文まで教えてくれる。

フライトエージェントのトンプソンミラー宛にメールを出して欲しいと連絡があり、メールを送ったら知らせろとある。メールアドレスが「UnitedFlightAgent1978@yahoo.com」となっており、単なるヤフーメールなので、航空会社とか旅行代理店のメールアドレスではないのだが、指示された通り「田村陽子医師の友人です。」とメールを出してみた。メールを出してみるとこちらの個人情報を入力して返信しろという。項目は以下の通り。

73万円を旅行代理店に払ってください。

 トンプソンミラー宛に適当な名前(山田太郎)と年齢等を入れてメールを送ると、とうとう金額が明示された。彼女をイエメンから救い出すための航空券代を代わりに払って欲しいという。その金額が73万円という訳だ。

振込先が送られてきた。なんと茨城県石下のムラカミ?

 トンプソンミラーとメールのやり取りをしていると「振込先」送られてきた。73万円の振込先である。ここで振り込むと国際ロマンス詐欺が完成するのだろう。その振込先が興味深いので掲載しておく。

 常陽銀行の石下支店「ムラカミドスサントスセリアカズエ」という人間に振り込む事になっている。

当然振り込む事はしない。念のため常陽銀行に電話し、この口座が振り込み詐欺に使用されている事を連絡した次第だ。

 その後も延々とメッセージは続く。「イエメンという過酷な状況から私を救い出してください。そして息子と会わせてください。イエメンから出国出来た際には日本に行き、お金をお返しします。」こういうストーリーか。少し弱いような気もするが、今までさんざんやり取りしてきた最後は代理店への航空券代の支払いとなることが分かった。この後、「私はお金がない」とか返答していたら、ここからもかなり長い文章で「お金は必ず返すとか、私は名誉と誠実さをもった女性とか、どうか助けて欲しいとかのオンパレードのメッセージがしつこく届く。なかなかガッツがある。毎朝おはようございます!という挨拶と共に「フライトエージェントと連絡が取れたか? この危険は場所から離れたい」と毎日届くのだ。

Yumiko Kurodaという同じ顔から友達申請が来る!

 73万円は払えないとやり取りしていると今度は、Yumiko Kurodaさんという全く同じ顔で同じプロフィールの女性から友達申請が来ると言うサプライズ。

 国際ロマンス詐欺に対応している間に、全く同じ顔で違う名前から友達申請が来るとうハプニング。当然、この件を写真付きでイエメンにいるであろう田村陽子さんに尋ねてみる。「これはあなたではないですか?」と。そうすると「その彼女は偽物で、なりすましアカウントなのでブロックしてください」とさも自分が本物であるかのように説明してきた。「貴方の不安な気持ちも分かるが、私が実在する人物であるから、早く航空会社との交渉をして欲しい」とまだお願いしてくる。かなり根性あるなという感じだ。

300万ドルを送りたい。政府から報奨金を受け取った。

 上記の73万円の航空券代振込を無視していたら、今度は「イエメン政府から報酬金をもらう事が出来た」と新たな話を持ち出してきた。ここまでくるともうパロディーの域に入ってきた。

イエメン政府から受け取った300万ドルはこちらの銀行口座では機能しないので、運送会社を使って日本に送りたい。それを手伝って欲しいいう。当然分け前も渡すというのだ。300万ドルの20%を渡すという。日本へ荷物としてお金を送る為に運送会社へメールして欲しいと。あれこのパターンって航空チケットから運送するための箱に変わっただけだなと思いつつ。色々とやり取りを続けてみる。

 また上記の配送会社のメールアドレスもyahoo.comなのだが、適当な氏名を名乗って送ってみた。そうしたら今度もびっくりなメールが届いた。

外交官のウォレス・ジョーンズです。

 undelivery511yahoo.comの配送会社宛にメールしたら、なんと!外交官から返信が来た。もうなんですかこのプレーは?

報奨金が出産代金に変わっていた。なんだこれ!?

 これもまた適当な名前を書いて送ってみたら、荷物を送る為には68万円が必要だと回答が来た。しかも今度は出産費用という名目となっている。おそらく誰かと間違えたのであろうが、もうめちゃくちゃな展開だ。ここまで来てもうだんだん付き合うのも飽きてきたので本質の質問をすることとした。

これって国際ロマンス詐欺でしょ?

 田村陽子さんに対して「これって典型的なロマンス詐欺の手口だよね?」と直球で聞いてみた。そうしたらなんと「兄弟、私を信じて欲しいのですが、配送会社は本物で合法で、騙しません」「彼らは一切ロマンス詐欺には関わっていません」との回答が堂々と帰ってきた。
 更に「これはキャンプの司令官が、イエメンの銀行を通じて送金しようとして何度も失敗した後、退職金の輸送を手伝うために提供してくれた認定運送会社です」ときた。こちらも怪しい点をいくつか指摘すると今度は「愚かな人間にならないでください。貴方の過剰な賢さのせいで、私たちがこれまで成し遂げてきた進歩を台無しにしないでください」と説教までされる次第。

まとめ

 今回は最初からこのブログに書こうと思って付き合ったドタバタ劇であったが、こうやって毎日「おはよう」と挨拶されたり、「素敵な思い出を作りましょう」なんてやりとりしているとだんだん親密な気持ちになって「助けてあげよう」なんて思う人が出て来るんだろうなと思いをめぐらせた。だいたい詐欺師は人の優しい気持ちに入り込み、そこを騙していくのだから。SNSの友達申請という何でもない事から、舞台はイエメンに飛び、様々な登場人物が出てきて劇場型になり、正常な思考回路が少しづつずらされていくのだと思う。皆さんも本当に気を付けて欲しい。寂しい独身の高齢者は特に注意が必要だと思った。
 そして、今もこの運送会社に68万円の振込先を聞いてみた。そうしたらなんと以下の振込先が指定されてきた。
 楽天銀行 ひかり支店(301)普通 3875633 口座名義人 杉野実恵

 すぐに楽天銀行の特殊詐欺窓口に連絡をし、上記の口座を至急調べるように要請した。詐欺グループの一味か、もしくは口座を乗っ取られているかだと思う。本当に怖い世の中になったものだ。とにかく気をつけないと。皆様も十分に気をつけて頂きたい。  以上


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